おいしいシシャモの食べ方

サラリーマンの雑記

小説は特に、楽しもうという姿勢がなきゃ楽しめない かがみの孤城/辻村深月

映画でもドラマでもアニメでも、面白そうだなって期待感をもって見るのと、しつこく勧めてくる友人のため仕方なく見るのとでは、全く同じ作品を見たとしても、感じる面白さは雲泥の差だと思います。

ご飯もたぶんそう。一蘭がこんなに流行った要因として、一蘭の歴史やらーめんのすごさを語った文を個室風の空間に貼り出し、食べる前からお客さんの気持ちを作ったからだ、みたいなことホリエモンも言ってました。

 

かがみの孤城、名前だけは知っていましたが、先日初めて読みました。

もうすぐ文庫本出るかな?と思いつつ、単行本を買いました。期待していたからです。

期待していた要因は、ざっくり下記三点。

1.奥さんが勧めてきた(本人は読んでない)

2.本屋大賞初め色んな賞を総ナメして8冠とってる

3.以前読んだ辻村さんの「朝が来る」が面白かった

 

ワクワクしながら読み進めていくなか、いくつもの「ん?」が発生し、中盤以降では「楽しもう」という気持ちが失せていました。そしてそこから読みすすめる苦痛の中で、映画やドラマに比べて、小説は「楽しもう」という気持ちの有無がとんでもない大きさで影響するものだと気付きました。映像や音楽で誤魔化しも効かず、あるのは文章だけ、想像するのは自分の頭、その頭が楽しもうとしてないなら脳内に映し出されるのは高校3年生のさむい劇レベルのもの。

 

たぶんかがみの孤城面白かったというレビューは腐るほどあり、十分足りていると思うので、ここでは僕の「楽しもう」精神をメキメキ剥がしていった要因がこの本のどこにあるのかを列挙していこうと思います。

 

「楽しもう」精神をメキメキ剥がしポイント

1.目次に主要人物のイラストがある(90/100)

2.「心があたたかくなる」という描写がくどい(70/100)

3.不自然なほどあからさまなミスリード(10/100)

4.真実はこうだった!というくだりでの糞長オナニー(0/100)

5.携帯小説を彷彿とさせる感動シーンでのスカスカ改行(-1000/100)

 

これら5つは時系列順に並んでいます。カッコ内の数字は、初めにあった「100」の楽しもう精神がその要因でどれくらい剥がれていったのか、ということを表しています。一つずつ簡単に説明します。ネタバレもあります。

悪口を書くような形になりますが、その要因は素直に楽しめない貧しい心の自分にあり、この作品の程度が低いが故に悪口を、という趣旨ではありません。同じ用に楽しめなかった人に、わかるよその気持ちと寄り添ってあげることが目的です。あと悪口言ってスッキリすること。

 

1.目次に主要人物のイラストがある

脳みそで補う遊びの部分を減らすのは単純にやめてほしいです。

 

2.「心があたたかくなる」という描写がくどい

主人公はいい子な女子中学生です。その女の子視点で書かれているので、子供っぽくてかわいい内面も映し出されるのですが、その子の心がやたらと温まるのです。

友人の一言、母の一言、鮭の遡上。

何かあると、「心の奥があったかく・・・」「心にじわりと・・・」「左乳首の奥らへんが・・・」と、すぐに心が温かくなります。次第になんかうるせえなと思いました。

 

3.不自然なほどあからさまなミスリード

光る鏡の中に入るとお城の世界、というファンタジー要素満載で、その世界にまつわる謎もあります。そもそもこの世界はなんなんだ、ここで私達が出会った意味は、とか、中盤以降主要人物達もその謎を解き明かそうとします。パラレルワールドとか、色々考えます。読んでるとおそらく7割くらいの人が「いや時間がずれてるって話じゃないの?」と思うんじゃないでしょうか。しかし主要人物たちは、時間軸云々について触れることなく、不自然なほど「パラレルワールドだ」に収束します。読者に対する「パラレルワールドしかないやろ」というミスリードがとんでもなく強引に感じました。そしてこのミスリードから、4.に繋がります。

 

4.真実はこうだった!というくだりでの糞長オナニー

時間がずれてたんだ!!!!!!!!!!という、真実がわかるくだり。

そして主要人物達が色んな伏線を回収していきます。

「あのときの~は、Aじゃなくて、Bだったからだ!」

「あのときの~」

「あのときの~」

「あれも~」

「あれも~」

「あれも~」

全部そりゃそうでしょって感じるものばかりなのに、「伏線はいたるところに張り巡らされていたのだ」みたいなノリで。

温度差にくらくらして、しばらく寝込みました。

 

5.携帯小説を彷彿とさせる感動シーンでのスカスカ改行

クライマックス。

 

 

 

 

 

アキ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

アキーーー!!!!

 

 

 

 

 

 

 

おーーーい!!!おいおい!!!

 

 

 

 

 

 

 

みたいなノリ。

「1.目次に主要人物のイラストがある」と少しかぶりますが、脳みその遊びの部分を減らさないでほしいです。改行でスカスカになったページに一言ドンと載せられる、みたいな中途半端な視覚効果は、中高生が読むスクロールありきの携帯小説でやればいいのにと思います(もう古いか)。小説である以上文章だけに頼って欲しいです。感動的な情景は頭の中に描きます。紙の上にいらない余白があるとすごく気が散ります。クライマックスで温度差が最高潮に達し、鼻くそほじりながら読み終えることになりました。

 

この本から学んだこと

小説においては特に「楽しもう」という心が大切だと学びました。

でも、総括して面白かったので!ぜひ読んでみてください(さり気なくぬかりない大人のフォロー)。

 

 

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