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サラリーマンの雑記

殺人衝動を持つ男と、自殺願望を持つ女が出会ったら ピアッシング/村上龍

村上龍の書く文章が好きです。内容に関わらず読んでいるだけで楽しい。狂気じみた描写は読んでいてドキドキする。先日大門剛明さんの完全無罪を読み終えたときに思ったけど、綺麗にまとまったお話や文章より、ある程度キチガイじみて理解出来ない領域を孕んだお話や文章がいいなと再認識しました。理解出来ないからずっとワクワク出来る。

ということで、極力自宅で過ごすことが求められる今、村上龍の作品のうち読んでいないものを一気に買い、帰宅した夜、薄くてすぐ読み終わりそうなピアッシングを最初に読みました。

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あらすじ

綺麗な妻と生まれたての子供を持つ会社員の男は「自分はいつかアイスピックで子供を刺してしまうのではないか」という不安に囚われ苦しみます。その苦しみは、家族が寝静まった夜に寝息を立てる子供にアイスピックを当て自分が突き刺さないことを確かめないと眠れないという深刻な状況に陥る程。やがて男は「子供ではない誰かをアイスピックで実際に刺す、子供を刺さないために」と結論づけ、計画を立て、実行に移していきます。尋常ならざる思考回路は、彼が幼い頃母親に受けた虐待により形成されたもの。そして派遣型風俗嬢なら誰でもいいと偶然殺人計画のターゲットに選ばれたのは、自殺願望を抱えた薬中風俗嬢の女。彼女もまた、幼い頃に受けた父親からの性的虐待により壊れた心を抱えています。男が計画を実行に移す夜、男の計画など知らない女は無防備に浴室でシャワーを浴びます。そして女は突然、衝動的に、自らの脚をハサミで突き刺します。男が異常に気付き扉を開けると、浴室にはハサミの刺さった女と赤くなった床。殺そうとしていた女が、目の前で死のうとしている。計画から外れた二人の一夜。その向かう先は、、というお話。

 

たとえ虐待を受けても、親を嫌いになるより自分を嫌いになることを選ぶ

みたいな、フレーズが作中にあって、ほげぇと思いました。何されても親を好きであろうと最大限努力する、と。虐待について特別調べたりしたことがない身なので、結構ほげぇって感じでした。何されても親は親で、小さな子供はすがるしかない。ニュースでも耳を塞ぎたくなるような事件が流れたりする。そういうのって、虐待の内容がきついのは大前提だけど、ママとかパパとか言って最後の最後まで頼ろうとしてたんだなってことが証言や日記でわかると、一気にずしっと胸に来るんだよね。ほんまにあかんで虐待は。ボケ。

 

神視点で目まぐるしく絡み合う男女の思考

物語序盤は男性について語り、途中から女性について語り、二人が出会ってからは神視点でどちらの思考も並列に代わる代わる書かれています。一文の中で男視点女視点どちらも書かれたりしてて、映像を見てるみたいなライブ感がありました。この思考の絡み合いがたまらなくワクワクドキドキしました。途中エンタの神様時代のアンジャッシュのネタみたいになったときは、なんとなく少し笑って気が散りました。

 

この本は~

薄さもあるけど、読み始めたらあっという間に読み終わってしまいます。ちょっぴりハラハラする話に触れたい夜とか、手に取るといいかもしれないです。

あとついさっき知りましたが、アメリカで映画化されてるみたいです。2018年に。 

 

  

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